写真展 European Eyes on Japan / Japan Today vol.9 プレイベント:ワークショップ


午前9時過ぎ。ワークショップの参加者がぞくぞくと集まってくる。すでに、定員より多いぞ!?まだまだ集まってくる。案内人のスティーブンがしきりに喜んでいる。

2008年4月6日の日曜日。空は雨が降り出しそうな曇り空。でも、集合場所の市立美術館前庭には、早くから参加者が続々と集まり始めました。募集開始後、あっという間に30名の定員に達したこのワークショップに参加できた方々は言うなればラッキーな方たちです。みんなデジタルカメラを手にして、期待に目を輝かせています。9時半に出発。今、世界で活躍する写真家ギルさんと一緒に城山へハイキングしながら、彼の新鮮な目で身近な風景のおもしろさに気付く写真ワークショップの始まりです。

美術館前庭から出発し、照国神社を抜けて城山にのぼるハイキングコースを行きます。レンズを向けるのは風景だったり、視覚の中から切り取られたものだったり、参加者が皆カメラマンなのでお互いがモデルになってしまったり、どんどんシャッターが切られていきます。

定刻午前9時30分に出発。照国神社の前を通って、神社を横をあがる階段コースを通って城山へ。もうみんなシャッター、パチパチ。お~い、遅れないでね~!

城山の頂上の広場では、ギルさんのひらめき企画、「写真でかくれんぼしよう!」ゲームもやりました。これが思いもよらない写真が撮れるので、みんな今までの写真の撮り方から一歩突き抜けてしまった感じ。

普通のかくれんぼの要領で、カメラを構えてかくれんぼをします。
1 鬼になった人は30秒数え、その間に他の人たちは辺りに隠れます。
2 鬼は隠れている人を見つけたらその瞬間に撮ります。
3 持ち時間は3分。時間切れ!の合図で鬼は交代です。
写真が多い人が勝ちです!さあ、瞬間を捉えて下さいね!

かくれんぼ。山の上の広場でかくれんぼ。でも、いつもと少し違う。「見ーつけた!」の言葉の代わりに「パチリ」フィルムの中に捕まえてしまいます。そして、参加者全員が鬼になります。さぁ、だれが一番多くの人を捕まえられるかな。この「写真でかくれんぼ」では、見つかった瞬間の隠れていた人の表情のイキイキとしてることや、見つけた側の高揚感が写真のブレなどで効果となって表現され、それはとっても新鮮な体験です。

「次は私たちが鬼だよね」「たぶん」。隠れるのも楽しいし、見つけるのも楽しい。だって、こんな「写真でかくれんぼ」なんて初めてだもん!見せて!見せて!見つかった時の無防備な顔はだれの顔をにこやかにするほど無邪気だね!

さぁ、カウントダウン!みんな一度は鬼になるんだから。だれが一番みんなをフィルムの中に捕まえることができるかな。ほらほら、そこのお兄さん、早く隠れないと!

カウントダウンとともに、大きなクスの木に彼女の高揚する気分が伝わります。3、2、1、ゴー!!!

鬼役は広い森の広場を全力で駆け抜け、探して、パチリ。見つかった人は確実にフィルムの中に捕まります。

いないなぁ。。みんな森の中で息を潜めてる。あなたには見える??

あー、これ、これ!パチリ!うーん、間に合わない。。落ちてくる葉っぱを撮るってむずかしい!!

落ちてこないかなぁ。。ひと風吹けば、一斉に葉っぱが舞い落ちてシャッターチャンスです!

落ちてくる葉っぱを待つ友人を撮ってます。思わず、にやけてしまう。だって、こんな無心の彼女は見たことないもの!それから、木の枝から舞落ちる葉っぱを着地するまでにカメラに収めるゲームにもトライ!ひざを柔らかくして葉っぱが落ちる速度やリズムに合わせて撮る。まさにカラダを使ったカメラワーク。上手に撮ろうとかではなく、とにかく葉っぱを追いかけること!

そんなゲームを通して、写真をもっともっと自由に撮る楽しみを体感。山を下りながら自由にシャッターを切る参加者は、カメラを楽しみの遊び道具として使いこなしていました。このワークショップでは、「今まで知らなかった写真の表情を知ることができた」「写 真はブレてはいけないと思ってたけれど、とにかく無心に撮り続けていると思いがけない写真に出会うことができた」「動きのある写真がおもしろいことに気づいた」などの新しい発見をした参加者が声がいっぱい。

いつのまにか、鹿児島のいつも自分たちが見ているの風景の中で、遊びながら、でもしっかり「魅力ある写真を撮るにはどうするか」を身をもって学んでいた2時間でした。あまりにも身近にあって見逃しがちな魅力をたくさん感じると共に、世界で活躍する写真家のエネルギーと魅力を肌で感じた貴重な時間でした。

特に印象的だったのは、雨の合間の森の広場が広々ときれいだったこと。城山にこんな広場があるなんて。木々の緑と黄色や茶色の葉っぱの絨毯のコントラストがきれいで、囲まれた空間が遊び場にはぴったりなような。でも、ひとりで鬼をしてたら少し寂しいようなところでもあるよね。
かくれんぼのカウントダウンは、森じゅうにちらばったみんなに聞こえるように、私やスタッフが大声で叫んだ。その声が森に吸い込まれていく。いい空気の中で目一杯息を吸って大きな声を出すということが気持ちよく、それがずいぶん小さな頃から忘れていた自然の中の「自然な行為」だと気づいた。
面白かったのは鬼ごっこでステキな隠れ方をしてる参加者。落ち葉の中にすっぽりと身を包んでしまった。一番背の高い男の人だったけど、全身木の葉の中。隠れながらもとても気持ちよさそうでした。あと、木の上に身を隠している参加者。二番目に背の高い男の人。かなりすっきり同化している。そして、いるはずだけど走り回ってて、なぜか全然見えない一番小さな男の子。男の人は遊びの天才なのかって思っちゃいました。