初体験。でも、明日は誰にもわからない。

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10月10日午後7時、文化ボランティア養成研修の第二回目として、視聴覚や身体に障害のある方々が会場にお見えになった時の、それもおひとりで来られた時を想定した、研修生のみなさんにとって最もハードルの高い状況での対応をご指導いただきました。

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昨年、出品されるすべての芸術作品に触れることのできる展覧会として、鹿児島で初めて行った「触れる作品展」。そのひとつの大きなテーマは「目が不自由な方々の芸術鑑賞に光をあてる」というものでした。
昨年、会場でこんなことがありました。
「犬ってこんな感じなんですね・・・。」と喜んでいる方は、先天的に目の見えない方でした。もちろん、初めて展覧会へ来たんだとおっしゃっていました。
「これからは、犬が夢に出てくると思います。」
「私たちも夢を見るんですよ。形のある夢。ぼやっとしてますけどね。」
私は、「犬ってこんな感じなんですね」という言葉が三日ほど心から離れませんでした。

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どなたかわかりませんが、あの方の人生に「犬」という存在を初めて伝えることができたわけです。
もちろん、本物の犬に触れることは今までもたくさんあったでしょう。
でも、あの方は、作家の心が宿る芸術作品の「犬」を初めて「犬」として感じたわけです。
デフォルメされたり質感も本物とは全然違うけど、作家の心を通して、「犬」の持つイメージを受け取られたのです。その時の感動を、私は今でも忘れられません。

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研修の最後に少しお話させていただきました。
視覚に障害がある方々は、展覧会に来られたことはほとんどないと思います。ですから、おひとりで来られることはまずありません。でも、そういう方々がひとりで自由に展覧会にも来れるような社会にするために、この「触れる造形展」はあるんです。そんな日が来るまで、今日のことは覚えておいてくださいね。