プロジェクトがおわって

●「触れるArtsProject2008」が終わって

 「触れるArtsProject2008」にご来場いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。
10日間の会期中、6日も雨という天気にも関わらず、1,800人を超えるみなさまにご来場いただき「触れる(触れ合う)」 というテーマでさまざまな試みを楽しんでいただきました。
「温かい優しい展覧会ですね」というお客様の言葉が忘れられないです。
会期終了日、鹿児島に向かう帰り道、なんだか寂しく感じた私。初めての感覚です。それほどに私の心にほっこり残ったものはなんだったのか。

いつもよりリアルな自然を感じながら、作家や地元の方・お客様・ボランティアスタッフと衣・食・住を共にし、アートを介して多くの人と触れ合う日々を過ごす中で、アートとは何か、作家も含めみんながアートに求めるものは何なのか、役割は、意味は・・・改めて、多くの事、大事な事を感じることをできました。
アートとは、特別な人が創り出す特別なものだけをいうのではなくて、日々、「生きる」姿そのものが、まさにそれぞれにおける表現であり、アートなんだと思いました。朝日とともに目を覚まし、変わらぬ毎日の仕事に精を出し、日暮れとともに今日一日に感謝する、そんなひとりひとりの「暮らし」「生き様」が、なんと美しく、すごいのだろうと、地元の人たちの作った料理や森の学校で過ごした自然の中の静かな生活の中で思いました。
まさに「生きること」自体が表現なんだと。自分らしい表現、つまり自分らしい生き方を求めながら生きる、その日々がすでに自分らしい表現なのだと。

こんな素晴らしい経験ができたのも、本当にたくさんの方々のご協力があったからこそと心から感謝しています。みなさまのその温かい思いを集めた芸術祭、それ自体もまた大きなアートだったと思っています。ありがとうございました。
いつもあなたのそばに芸術を・・・。
 

                                             特定非営利活動法人 文化芸術支援NPO PandA
                                                  理事長 早川 由美子

 

出品されるすべての芸術作品に手で触れて鑑賞できる「触れる作品展」事業を、巡回展まで含めて通算4回開催してみて、来場者が「触れる」という行動によって、みるみるうちに能動的に変化し、創造力を刺激されていることが手に取るようにわかるシーンをこれまで数多く見てきました。生き生きとしたその表情をもっと継続させるもの、参加型よりもっと多面的な何かをやれたら、本当の意味での「アートに触れる」ことを無意識のうちに感じていただけるのではないかと考えました。
  より多くの人との関わりとアイデアによって、「触れる作品展」事業は大きく変わろうとしています。規模が拡大するといったことではなく、これらのアート体験を通して、目の前のコトやモノを受け取るだけだった自分たちにも、自分の望む形にどんどん変えていくことができることを感じたり、新たな人やシステムとの出会いによって関係や価値観が変わり、作品やアート、ひいてはあらゆる物事に対する感じ方、感動の変化を無意識のうちに体験することなど、アートが導き得る本来のあり方を実現する場として作っていこうと考えたのが、この「触れる」ArtsProject2008です。
  人間は本来、誰もが創造者です。人が生きているということは、その人にとって毎日新たな経験を創りだし、その積み重ねをしているということです。人生における様々な経験の蓄積が人生の質を決め、振り返って「よく生きた」と納得できるものとなります。
  文化芸術活動は人生の質を価値あるものにする大きな要素です。生存のために人間が最低限必要なものを得た、その次にすることは各人の文化を創りだすことです。おのおのが持っている、感性、知性を働かせ、独自の経験を積んでいくこと。そこに、人間本来の創造の喜びと価値があり必然的に文化芸術活動が生まれてきます。
  作品に、作家に、そして「アート」に触れて、多くの人たちとのかかわりの中で、みなさまそれぞれの心に、豊かで温かく生き生きとした何かが少しでも芽生えていたとしたら、この上なくうれしいです。
  これからも、PandAは、みなさまのそれぞれの毎日を楽しく積み重ねていくことをお手伝いしていきます。


▼総合的なデザインとオリジナルTシャツデザイン  
デザインについて
  大寺聡

「手」と「目」が合わさったキャラクター達を、2007年の「触れる造形展」のときに考案しました。
今回は「森の芸術祭」でしたが、やはり同じ世界の住人を想定してデザインしました。イベント自体のイメージをコロコロと変えたくなかったからです。場所は変わってもPANDAさんの趣旨がブレている訳ではないですから。
Tシャツを注意深く見ると「森」という漢字がそのままキャラクターになっている事が解ると思います。静かな森が、アートと触れ合うことで躍動していく・・・そんなイメージで描いてみました。

大寺聡オフィシャルサイト (別ウィンドウが開きます)  
 ※ PandA発行の「天地の拍子vol.8」に大寺聡さんのインタヴュー記事を掲載しています。
 


▼感想をお寄せいただきました
触れるArtsProject2008の各企画に参加していただいた方々にご感想をお寄せいただきました。

▽音楽ワークショップから  

 

感動のひとときをありがとう

南九州私立大丸小学校校長 有馬修吾

 

 平成20年11月17日(月)。中村かし子先生による歌唱指導と名山小との合同合唱が行われました。
 当初、早川由美子さんから、この話をいただいたとき、ありがたいけど正直な気持ちは、受けるかどうかだいぶ迷いました。 でも、めったにない貴重な機会であり、とにかく子どもたちのためになるという一念で、お受けすることにしました。 結果的にはこのイベントをやってみて、本当によかったと思っています。
 本物のオペラ歌手の歌声など聞いたことのない子どもたちにとって、生の声はまさに感動的でした。 もちろん、わたしたち職員も。人間ってこんなに大きな声が出るのか、こんなにきれいな声が出るのかと驚きました。 中村先生の歌と表情による豊かな表現力に魅了されました。
 その後、大丸小学校全員でウェルカムソングとして、「怪獣のバラード」を歌いました。 子どもたちは精一杯、心をこめて歌いました。名山小の5年生の皆さん、そして、聞いている私たち、お客さん方すべての人々が感動しました。 進行役の早川さんも感動のあまり進行はそっちのけで、声を詰まらせていました。子どもたちの力って偉大なものです。
 さらに、中村かし子先生による「怪獣のバラード」の指導。詩を大事にした指導法、 イメージさせるために身振り手振りをしながらの大熱演、会場は一気に盛り上がりました。 子どもたちにイメージが十分伝わり、実に楽しそうに歌っていました。名山小の子どもたちも、 思い切り声を出して楽しそうに歌っていました。声もぜんぜん違ってきました。プロの技ってすごいと思いました。
 そして最後に、名山小との大合唱、「勇気100%」と「世界が一つになるまで」。 元気のある歌と静かな感じの歌。ここでも、詩を大事にしながら、情景をイメージさせながら歌う指導で、 子どもたちの歌声がみるみるうちに変わっていきました。
 この活動を通して、やはり一流のものに触れること、一流の人に指導してもらうことのすばらしさを感じました。 一流の人の底力にはかなわないと思いました。また、名山小との触れ合いも、 小規模校のわたしたちの学校の子どもたちにとって、貴重な体験になりました。 子どもたちは、すぐに打ち解けて仲良くなれます。すぐに友達をつくってしまう子どもって、やっぱりすごいと思います。
 この上ない体験をさせてくださった中村かし子先生、名山小の5年生の皆さん、 そして、このイベントを企画し、進めてくださった早川由美子さん、本当にありがとうございました。


どうもこんにちは、お元気ですか。
この前の宿泊学習でお世話になりました。内田七海です。
最初の印しょうは、とてもやさしそうな人だなと思いました。やっぱり思った通り、やさしい人でした。
作品しょうかいは、地図ももらい、とても分かりやすく説明していただき、ありがとうございました。作品もとてもすばらしかったです。
温せんは、とても気持ち良かったです。夜、ねる時もいっしょにねてくれて、けっこうよくねむれました。
とても楽しかったです。また川辺に行かせていただきます。
やさしくしていただき、ありがとうございました。

名山小学校 五年二組 内田七海


NPOパンダの人々へ

 先日の宿泊学習の時は、ありがとうございました。
 ぼくは、最初にかわなべ森の学校にはいったときに「校庭にあるのは、なんだろう」と思ってみたら、あとからアートだとしって「アートか」と思いました。しかも、あとから近くに行ってみて見たら、おもしろい形をしてました。そしたら、男の人がいて、次の作品をみてみたら、その人が作ってることをしりました。ぼくは、「作った人と話ができるのは、いいなぁ」と思いました。
 ぼくは、このさいてんを見て、初めて「アートっておもしろいなぁ」と思いました。
 ぼくは、本当にこのさいてんを見て、知ってよかったです。本当にありがとうございました。なにかのきかいでお目にかかったら、また、よろしくおねがいします。

名山小学校 永峯歩夢


早川さんへ

早川さん、お元気ですか。
先日、お世話になった名山小学校の時政征一郎です。
大丸小でのオペラ歌手とのこう流のときや、かわなべ森の学校でいろいろな体験をほんとうにありがとうございます。
大丸小で歌を歌った時に、とても感動していましたね。
三ぱく四かの中で、早川さんに、すごくお世話になったと思います。

名山小学校 五年 時政征一郎


こんにちは、お元気ですか。
この間は、かわなべ森の学校で作品の説明をしていただき、ありがとうございました。
そのおかげでいろんな作品に興味がわきました。
本当にありがとうございました。

平成20年12月1日
名山小学校 五年二組 松下航大

   
▽「触れる造形展2008」から
●アンケートの中で、『美術作品に「触れて」みていかがでしたか?』という質問に対する回答の一部を掲載
美術作品と言えば「触れないで下さい」というのが一般的な中、絵画作品にまで触れられるというのはかってない感動がありました。木原さんの作品の筆づかいを指でなぞってみたりして、作家の制作過程を追体験することができてよかったです。
普段は、「作品にさわらない」ことが多いのですが、実際に触れることができて、作品の持つ雰囲気をさらに感じることができました。小さい子どもと一緒だったのですが、作品をさわったり、作品の周りを走ったりして、楽しんでいたようです。
触れた感覚で、重量感がわかるのにびっくりしました。見た目と手触りとで、質感が違うって面白いと思いました。
今回の造形展は自然の中で生かされているような感覚になって、とても気持ちよかったです。「触れて」みて、質感や。作者の遊び心を感じることができ、おもしろかった。また、子供のときの感覚を思い出す時間が何度もありました。とても貴重な時間です。
触れてみることで、いろいろな素材で作られていることが確かめられておもしろいでした。
目で見た作品と、触れた作品とでは同じものでも新しい発見や感じるものがあり、より楽しめました。作者の方々の思い等、触れることでより身近に感じることができる気がします。
見るだけよりも、作品をより身近に感じられました。見た目と触れた感じとではギャップがあり、興味深かったです。素材のエネルギーが伝わってきたような気がします。
とても面白かった。いつも興味を引かれるものには触って確かめたい(感じたい)と思うけれど叶わないことが多いので嬉しいです。
普段、触れることがないので戸惑いました。
ゆったりとした場所でのんびり拝見させていただきました。若い人の発想の良さに感動しました。
観覧中、”触れる”ことに戸惑いを感じることがありました。それだけ、作品に触れることが珍しいことなんだと思います。見た目と触れた時ではギャップがあっておもしろかったです。
触れてみないと、わからない”質”とかわかっておもしろかったです。
見た目は同じように見えるものが、触れてみると違いがわかってすごいと思いました。それぞれの作者の方の個性が出ていたと思います。
キャンバス、素材の質感がわかって良かった。
見た目と素材の違いが印象的
感動した。(見た目より、軽かったり重かったり)
クイリング材で表現されているのが立体的でカラフルで美しかった。
いつもガラス越しにしか観賞できない作品が、手に触れられて、作品への愛着がMAXでした!素晴しい
あまりこういう機会は少ないのですが、楽しく見学させていただきました。
日頃、触れることができないArtに触れられて素敵な時間を過ごしました。
はじめてでしたが、幸せ気分いっぱいになりました。せわしい毎日の中で久しぶりのまったりゆったりした時を過ごせました。
なかなか触れられるということがないだけに、とても楽しくみせていただきました。
質感と温度が新鮮
日常を忘れ癒されました。
絵にも触っていいのは、びっくりした。
感動を覚え、イメージが膨らみました。
自然の中に囲まれた中での作品が生き生きして見えました。
とても作品が素敵でした。自然に溶け込んだ作品が良かったです。
初めての体験でおもしろかった。
たくさんあってビックリした。”すごいな”と感じました。
触れる美術品は珍しくて、面白かった。
 
▼メッセージボード
2008-9004
前回の「触れる造形展2007」から託された思いは、かわなべ森の学校の会場でみなさんに届けられました。
「触れる造形展2008」にて感動された来場者のみなさまからも次回への熱いメッセージが綴られました。
 
▼世間の声から
西日本新聞 2008年11月18日掲載
 
南日本新聞 2008年11月23日掲載